DXやERP、AIをテーマに参加者同士が議論、MIXIが情報システム部門担当者を集めたイベントを開催

MIXIとエンタープライズIT協会は2025年3月19日、「みんなで話そう、コーポレートIT Vol.2」と題したイベントを開催しました。2月に開催した第1回に続く今回は、MIXIのDX推進を主導する「DXグループ」の取り組みを紹介。さらに、情報システム部門に所属する参加者が普段の課題や悩みを共有するディスカッションを実施しました。イベントの様子を紹介します。

目次

MIXIが進める従業員管理の状況と顕在化するERPの課題

イベントは2つのセッションで構成。前半はMIXIの「DXグループ」担当者が登壇し、MIXIのDX推進に向けた取り組みを紹介。さらに、現在運用中のERPを取り巻く課題についても解説しました。後半は、情報システム部門などに所属する参加者同士でDXやERP、生成AIについてディスカッションしました。

イベント前半のセッションでは、MIXI はたらく環境推進本部 コーポレートエンジニアリング部 DXグループ 兼 SOCチーム リーダーの阿部翔氏が登壇。同社が現在運用する「YESOD」の利用状況について紹介しました。同社では従業員情報を管理するため、IDを管理、統制するクラウドサービス「YESOD」を2024年に導入。現在勤務する従業員情報はもちろん、退職した元従業員の情報も含めて統合管理できる環境を構築しています。従業員情報を格納するAWS上のデータベースと連携するためのAPIを開発し、「従業員の組織や異動履歴、退職者情報など、必要な情報をクエリベースで取得できる。従業員情報をより扱いやすくした」(阿部氏)といいます。その他、入社や退職時のアカウント発行や削除を自動化するなど、業務効率を高める手段として「YESOD」を効果的に活用します。「今後はITSM(ITサービスマネジメント)を導入する予定。業務状況に応じて適切なITサービスを提供する環境を整備し、柔軟なシステムを前提に業務効率化を加速させたい」(阿部氏)と強調しました。

続いて登壇した同 DXグループ マネージャーの秋元佑一郎氏は、同社のERPシステムが抱える課題を解説しました。具体的には「システム連携による機能変更が難しくなりつつある。会計とワークフローが密に連携しているため、他システムと連携する際の機能変更が全体にどう影響するのか想定しにくい。他のコーポレート部門でも個別のシステム導入が進んでおり、ERP領域におけるベストプラクティスについては悩んでいる。現状は複数のシステムを使い、疎結合な状態でデータを繋げるという形がよいと考えている」(秋元氏)といいます。さらに、「ERPシステムの運用・保守を外部に委託しており、必要な機能をスクラッチで開発している。そのため、移行に際しても製品選定が難しくなっている。また、密結合している部分はあるため一部機能の切り出し等も難しい状態」(秋元氏)と、問題点を指摘します。その他、グローバル対応したくても各国の法規制などに伴う要件が違うため、国ごとに異なるシステムを運用せざるを得ない点、ERPシステムの運用や見直しに対し、個々の部門でシステム導入を進めている部分もあり、横の連携も課題と秋元氏は述べました。

部門の壁を超えた協力が全社のデータ活用を加速させる

イベント後半は参加者を2つのグループに分け、参加者同士によるディスカッションを開催。DXやERP、さらには生成AIといったテーマを切り口に、導入や運用上の課題、成功させるポイントなどを議論しました。

あるグループは、ERPシステムやデータ管理について多くの意見が飛び交いました。中でも問題となったのは、異なる部門が異なる基準でシステムを運用することによるギャップです。経理や労務などの部署ごとの基準でシステムを運用することで、システムの導入効果を高められず、システム連携も困難にしているといいます。ERPシステムを導入する際、システムの選定基準や要件が部署ごとに異なれば、データの効果的な活用を見込めないという意見もありました。

ERPの導入では標準化を前提にプロジェクトを進めるものの、経営層が標準化を厳命しなければ部署ごとの思惑がシステムに反映されかねないという意見がありました。データを活用しにくいERPを構築すれば、精度の高い経営戦略も打ち出せなくなり、悪循環を招きかねないといいます。海外企業のようにプロセスの管理と権限を明確にすべきという声や、日本企業の多くが業務プロセスに対する認識が不足しているという根本的な要因に踏み込む声もありました。

写真:参加者はテーブルごとに分かれ、自身が普段抱える課題と照らしながら意見を述べた

一方、別のグループは全社視点の必要性やERP導入、生成AIの活用について議論しました。特に最近は部門ごとのシステム導入が進み、システム連携によるデータ統合が進まないという声が多くありました。部門内の業務に何ら不満はないものの、全社を想定したデータ活用が進まない状況を招いているといいます。こうした状態に陥らないためには、部署や組織を超えた連携、協力が不可欠という意見がありました。

ERPについては、導入後の効果を最大化できない企業が多いという指摘がありました。システム間のデータ連携に課題を抱えるケースが多く、連携の煩雑さや複雑さがデータ活用の障壁になっているという声がありました。

生成AIについても議論。データ分析や業務改善といった企業共通の課題にAIを活用するのが望ましいという意見がありました。とはいえ、データを「何のために収集するのか」「なぜ分析するのか」といった目的を明確にしない限り、AIによる効果を見込みにくいという指摘もありました。目的や狙い、理由を明確にするには、部門の利害を超えた共通の目的を設定するとともに、全社のビジョンや利益に合致する考え方を共有できるかどうかが鍵になるという声もありました。

MIXIがDX推進やERP見直しを進める仲間を募集

MIXIとエンタープライズIT協会主催のイベント「みんなで話そう、コーポレートIT」は、今後もテーマを変えて実施する予定です。情報システム部門の業務で役に立つ情報を入手したり普段の悩みを相談したりする場として、ディスカッション中心の内容を検討します。「他社の情シス担当者は何に困っているのだろうか?」「自社と同じ課題を他社ではどのように解決しているのだろうか?」など、同じ情シス担当者と話してみたい人にピッタリなイベントです。気になる人はぜひ一度、参加してみてはいかがでしょうか。

なお、MIXIのはたらく環境推進本部では人材を募集しています。今回のテーマだったDX推進やERP見直しなどを一緒に主導する仲間を募集中です。業務内容や募集要項などを以下に記しました。興味を持った方はぜひ応募ください。

【MIXI GROUP RECRUIT】

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【はたらく環境推進本部】コーポレートエンジニアリング部|社内セキュリティ運用 - MIXI GROUP RECRUIT MIXI社員の『はたらく環境』を守る社内ITエンジニアとして枠にとらわれない業務に挑戦してみませんか⁈
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【イベントに参加したMIXIのスタッフ】

コーポレートエンジニアリング部
DXグループ マネージャー
秋元佑一郎氏

SIerでのプログラマー、システムエンジニア、事業会社の社内SEを経て、2018年にミクシィ(現MIXI)入社。決裁ワークフロー/会計システムの入替支援、本社移転業務、全社で利用するSaaSツール導入、管理関連業務、PCなどの端末管理、SOC他の取りまとめに従事。2020年7月からマネージャー。

コーポレートエンジニアリング部
SOCチームリーダー/DXグループ
阿部翔氏

SIerでのプログラマー、システムエンジニアを経て、2019年ミクシィ(現MIXI)入社。mixirt、SOCなどセキュリティ関連業務の他、部署内作業の自動化、SaaS運用、子会社支援などを経験。現在はアカウントデータ基盤(DataHub)の開発取りまとめとSOCなどセキュリティ関連業務を兼務。

コーポレートエンジニアリング部
DXグループ
柴山貴俊氏

中小企業から官公庁まで幅広い規模と業種の企業でプログラマーからプロジェクトマネージャーやチームリーダーとして活躍。開発、保守運用、業務効率化、セキュリティ推進といった多岐にわたる業務経験を持つ。現在は、DataHubの開発や社内システムの保守運用や業務効率化に貢献している。

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