【動画】ServiceNowの「効果を最大化する導入」で企業はどう変わる? 東急不動産HDの柏崎氏に聞く「理想と現実」

 今、ServiceNowの導入を検討する企業が増えています。その理由としては、ServiceNowが業務の標準化と自動化をコンセプトとしており、ITSM・ITIL領域を中心にカスターマーサービス、HRオペレーションなど、幅広い業務に対応していることが挙げられます。

 こうした背景から、ServiceNowの導入効果を最大化するためには、業務を横断したプロセスとガバナンスに対する理解、そして明確な導入方針が不可欠です。

 ServiceNowは、守備範囲が広いサービスであることから、導入・運用が容易ではありません。導入にあたって必要な要件を関係者が理解していないと、業務プロセスの最適化が進まないばかりか、自社での継続的な開発・運用が困難になってしまうことも少なくありません。

 ServiceNowの導入効果を最大化するためには、一体どのような要件を満たす必要があるのでしょうか。また、その結果、企業内にはどのような変化が起こるのでしょうか。

 本記事では、Darsanaが主催したイベント「ServiceNowの『効果を最大化する導入』で企業はどう変わるのか──経験者に聞く理想と現実」の模様を動画でご紹介します。

 本記事の動画では、外資系企業で理想形ともいえるServiceNowの導入を手がけ、現在、日本のエンタープライズ企業で導入に取り組んでいる東急不動産ホールディングスの柏崎正彦氏のプレゼンテーションをご覧いただけます。理想のServiceNow導入を行った場合に起こる企業の変化と、理想の形に持っていくためシステム構築の難しさ、課題の乗り越え方についてお話しいただいています。

目次

理想的なServiceNow環境がもたらす「ITのAmazon化」

エンドユーザーが迷わない「すべてがここにある」環境<

私たちの日常生活では、スマホ上でチャットを行い、クラウドでデータを保存し、Amazonで買い物をすることが当たり前になっています 。しかし、一歩社内に入ると、いまだにメールや電話で問い合わせ、窓口を人に聞き、物理的に足を運んで備品を揃えるといった光景が残っています

ServiceNow導入の理想は、このギャップを埋め、「ここに来ればすべての仕事が終わる」という環境を構築することにあります 。ハードウェアやソフトウェアが必要な際、迷わずサービスカタログから選択して申請できる仕組みを整えることで、IT部門とエンドユーザーの双方が業務を集約できるようになります

IT部門を介さない「自動化」による圧倒的効率化

理想的な運用では、IT部門の介在を徹底的に減らします 。例えば新入社員のアカウント発行。従来はIT担当者が手作業で設定していましたが、ServiceNowと基幹システムを連携させれば、申請が行われた瞬間に裏側で自動的にアカウントが生成されます

ユーザーは自動返信メールでIDを受け取るだけで済み、IT担当者は「申請書の転記」や「受信履歴の管理」といった付随的な無駄から完全に解放されます

ツールを「高価なチケットシステム」にしないための戦略

IT部門の役割を「プロダクティビティ・コーチング」へ転換する

柏崎氏は、コーポレートITのビジョンとして「IT as a Service(サービスとしてのIT)」を掲げています 。これは、チケットを管理すること自体を目的にするのではなく、ITをサービスとして提供し、ビジネスをドライブさせるという考え方です

セルフサービス化や自動化によって空いた時間は、単なる「余暇」ではなく、社員の生産性を向上させるための「プロダクティビティ・コーチング」に充てられます 。情シス自らがユーザーと対話し、どうすればITを使いこなして事業効率を上げられるかをコーチングする。これこそが、IT部門が目指すべき付加価値業務です

サポートすべき「ターゲット」の明確化

問い合わせデータを分析すると、興味深い事実が見えてきます 。問い合わせの約6割は、実は「社内通知を読んでいない」「マニュアルを見ていない」といった層に起因しています

ITリテラシーの低い層を底上げしようと全力を注ぐのではなく、むしろ「ITを活用して業務を改善したい」と考えている意欲的な層を徹底的にサポートする方が、結果として組織全体の生産性は大きく向上します

成功の絶対条件:徹底して「カスタマイズしない」

「システムに業務を合わせる」マインドセット

ServiceNowは、グローバルのベストプラクティスに基づいて設計されています 。柏崎氏は、「表示名すら変えない」という徹底した標準機能(Out-of-the-Box)の活用を推奨しています

例えば、社内注文画面に「買い物かごに追加」という、ビジネスシーンでは不自然に感じる日本語表現があったとしても、あえてそのまま使います 。システムの項目を非表示にするなどのカスタマイズは、将来のアップグレードを妨げる要因になり、新機能の恩恵を享受できなくなるリスクを生むからです

「自分たちの思いつきよりも、世界標準の仕組みを信じる」。このマインドセットを持ち、業務をシステムに合わせていくことが、長期的な運用の成功に直結します

ナレッジの習慣化と「見える化」による自走組織の構築

60日間で成果を証明するダッシュボード活用

ナレッジ管理は、多くの企業が挫折する領域です 。3年もすればデータが陳腐化し、誰も更新しなくなるケースが後を絶ちません 。これを防ぐには、ナレッジの活用を日々のインシデント解決フローに組み込み、その活動を「見える化」することが不可欠です

柏崎氏の事例では、どのチームが、誰がどれだけナレッジを作成し、それによってどれだけの問い合わせを解決したかをグラフ化しました 。わずか60日間のデータでも、リモート操作による対応が減り、ナレッジによってクローズされるインシデントが増えるという明確な効果が示されています 。成果を可視化することで、メンバーのモチベーションは向上し、ナレッジの更新が自発的に行われる文化が定着します

まとめ:上質(情シス)改革は「俯瞰的な視点」から

ServiceNowの導入を単なる「問い合わせ管理ツールの導入」と捉えてはいけません 。それは、情シス自身の働き方を再定義し、企業のビジネスを加速させるためのプラットフォームです

標準機能を信じ、業務プロセスを簡素化し、生まれた余力をユーザーへのコーチングに振り向ける 。この俯瞰的な視点こそが、ServiceNowの真の価値を引き出し、日本のエンタープライズ企業のITをアップデートする鍵となるはずです

動画インデックス

・東急不動産HD柏崎氏プレゼンテーション
 理想のServiceNow導入で現場の業務はどう変わったのか

 -ServiceNow、理想の運用とは(外資系企業編)【00:02:37】
 - ServiceNowでIT部門の作業負荷はここまで下がる!【00:05:18】
 -ServiceNowを「超高価なチケットシステム」にしないために【00:11:10】
 -ServiceNowの導入、他部門に導入効果を知ってもらうために【00:19:12】
 -使い続けてもらうための取り組みは【00:24:19】
 -ServiceNowはカスタマイズしない!カギは「いかに業務をシステムに合わせるか」【00:33:54】

登壇者プロフィール

東急不動産HD グループIT戦略部 ITインフラ企画グループ

ITスペシャリスト

柏崎正彦氏

ITベンチャーにて、IBM AS/400海外製ソフトウェアプリセールスと社内情シスを兼務後、EMCジャパンの情報システム部門にて、日本拠点のITインフラ・ネットワーク・仮想化、サーバールーム刷新、ServiceNow展開を7年間担当。現在、東急不動産ホールディングス、東急不動産、東急コミュニティーの情シスを兼務し、SaaS検討・導入・BPR業務に従事。

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